2025年 最高だった本を語る③
もう8月手前ですが。
ちなみに去年あげた最高本10選はこちら↓↓↓
1.『三体(三体シリーズ)』劉慈欣
2.『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬
3.『ストーンサークルの殺人』M・W・クレイヴン
4.『有限と微小のパン』森博嗣
5.『博士の愛した数式』小川洋子
6.『イン・ザ・プール(伊良部シリーズ)』奥田英朗
7.『自由研究には向かない殺人』ホリー・ジャクソン
8.『火車』宮部みゆき
9.『ロスト』呉勝浩
10.『異常(アノマリー)』エルヴェ・ル・テリエ
今回も2冊ご紹介★
!!!ネタバレを含む可能性がありますのでご注意ください!!!
⑤博士の愛した数式/小川洋子

◆あらすじ
僕の記憶は80分しかもたない。
80分しか記憶が続かない数学者と、家政婦とその息子はしだいに心を通わせ――第1回本屋大賞に輝いた、あまりに切なく暖かい奇跡の物語。
[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。
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こんなに泣いた本は今までになかった。
でも私は、
「悲しいの?」「感動するの?」「切ないの?」「なんで泣いてるの?」
といういずれの質問にも、うまく答えられる気がしない。
なぜ泣いたのだろう。
多分それは、綺麗だったから。
“全て”があまりにも美しかったからだろう。
普段、純文学というジャンルはめったに読まない私にとって、
この手の作品は読んでて「ちょっとしんどいな…」であったり、
「あれ?これで終わり?」など、どこか不完全燃焼で終わることが多い。
だがこの作品は、その眩しさと、寂しさと、美しさと、冷たさが、
交互に何度もこちらの胸を突き刺してきて、
後半はもう何で泣いてるのか分からずに読み切ってしまった。
まず、登場人物が全員良い。好き。
それぞれが互いを思いやり、形は違えど大きな愛を形にして渡している。
そしてその愛を受け取りあい、
自分の奥底に仕舞っていく姿に、眩しくて目を細めて、
ちょっと羨ましくて、気付いたら涙が零れる。
そして都度都度の描写が好きだ。
少しぶつかったら崩れてしまいそうな繊細さもありつつ、
でも細い線ながら折れまいとする意志が文章に感じられる。
その佇まいの、なんと美しい事か。
この本には「美しい」が、ちりばめられている。
「文章」が美しい。
「人物」が美しい。
「装丁」が美しい。
「情景」が美しい。
「数字」が美しい。
この本は、大切にしまっておかなくちゃ。
また読むべき時が来る、その時のために。
そう思わせてくれたこの本には、
尊敬と感謝の念を送りたい。
④イン・ザ・プール(伊良部シリーズ)/奥田英朗

◆あらすじ
体調不良のはずが水泳中毒に、ケータイがないと冷や汗がでる、勃起して、ずーっとそのまま直らない。藁をもつかむ思いで訪れた神経科で患者たちを待っていたのは──とてつもなくヘンな医者だった! カバと見まごう巨体を揺らし、度外れた好奇心で患者の私生活に踏み込み、やりたい放題。でもなぜか病は快方へ……? 続篇『空中ブランコ』で直木賞受賞、現代世相の病理をコミカルかつ軽妙な筆致で描き出す。精神科医・伊良部の突出した存在感が笑いを招く!
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“友達にはなりたくないが、行動全てを常に見ていたい人物№1”の受賞の受賞、おめでとうございます伊良部先生。
あなたのその突拍子もない言葉や行動は、
本当に馬鹿げているしくだらないし時にはイライラもしますが、
確かに患者の改善の糸口になっています。
あなたはヤブ医者ですか?それとも名医ですか?
なんて伝えた日にゃ、
愛くるしいお腹をプリプリと揺らしながら怒ってくれるのだろうか。
でもこのシリーズを読み進めていくと気付くのだが、
実は精神科医として、各患者の状態に対して、
わりと本質的なところをついているのだ。
ただ少しだけ、やり方が強引なだけで。
年々生きづらい世の中だな、と感じることがある。
主にネットの普及で、私たちは1日の中で、あまりにも多くの情報を摂取し捌ききれないという身体的しんどさと、
そこに含まれる多くの感情に当てられて、こちらも一喜一憂を繰り返してしまうという精神的しんどさのせいだと思う。
そんな体も心も疲れ切っている今こそ、
彼のような“ゆるさ”は、かなり必要なものなのかもしれない。
この本は、疲れている時こそぜひ読んでほしい。
時に、無意識のうちに欲しかった言葉が落ちているかもしれないし、
たとえ見つからなくても、肩の力を抜けさしてくれるから。
しょうもないって、案外最強なのかもしれない。
今回はここまで✍
とても高低差のある2冊をチョイスしてしまった気がする。
ria

