お久しぶりです。riaです。

数年前に定年を迎えた私の父。

それでも家のローンを返すために、契約社員として働いている父。

入社から一度も退職することなく、1つの会社で働き務めた父。

今回はそんな父のちょっと代わってるエピソードを。

①口がお茶目

父はよく言い間違いをする。

私の本名の下の名前は2文字なのだが、1文字違いの呼び間違えを何度もされてきた。

しかし同じく2文字名の妹に関しては、「かさ、かめ、かね」と最早人ではない呼び間違いをされており、

まだ私の間違いなど可愛い方なのだなと思っている。

ちなみに妹は最大4文字の名前で呼ばれたこともある。もう文字数すら合ってない。

そんな父に、早口言葉をやらせたことがある。

言い間違いは多い人だが、特別活舌が悪い訳ではないので、

「えーこれやってみてよ」と軽い気持ちで提案したのは、

“ぱんかべ”というワードを10回いうものだった。

私「“ぱんかべ”って10回言って」

父「ぱんかべ?」

私「そう」

父「分かった………ぱんかべ、かんぱけ!」

私「…え?」

父「嚙んじゃった……、ぱんかべ、かんぱけ!」

 「あれ…難しいな………ぱんかべ、かんぱけぇ!」

 「くっそ………………ぱんかべ、かんぱけぇぇぇ!」

あまりにも酷い結果だった。

しかも悔しかったのか、その後もブツブツと練習していたのだが、

父の心の中(なんで言えないんだ…くそ!また馬鹿にされる…!できる…できるぞ俺、頑張れ俺、頑張れ俺…………)

父「よしっ行くぞ……がんばれ、がんばれ、がんばれ、がんばれ……………」

父はパニックを起こしていた。

私は腹を抱えて笑った。ちょっと涙が出た。

②高級志向

父はブランドものが好きだ。

しかもブランドものを身に着けている自分が好きだ。

だから胸元にある「あ、自分CH〇NELですっ」というタイプのロゴではなく、

胸に「どもーーーーー!!!!!わたくしは!!!!!!!かの有名な!!!!!!!!CHA〇ELでございます!!!!!!!!見よ!!!!!!!!!!!」と、デカデカと主張するタイプのものが好きだ。

浪費癖も相まって、金&ブランドものに関する話がごまんとあるのだが、

その中でもまだ若かりし頃、ちょっと良いスーツ屋での話をしたいと思う。

たしか私の記憶が正しければ、父は仕立ててもらったスーツを全て試着した日だったはずだ。

当時まだヤングだったボーイは、“ちょっと良いスーツ屋にいる”というイベントに浮かれていた。

バブル期だったこともあり、それなりの値段がするスーツを見て、

実際に腕を通して、鏡の前でいっちょ前に「ふむふむ」と自分を眺めていた。

新しいスーツ、俺用に作られたスーツ、ちょっと良いスーツ。ふむ、悪くないじゃないか。

試着を終え、鼻の穴を膨らませながらレジで会計をし、

ピシッとセンスのいいスーツを着た店員に出口まで見送られ、さあ帰ろうという時だった。

何かが変だ。

なんだ?なぜかいつもと歩く感覚が違う。

歩きづらいというか…足が冷たい。

冷たい?なぜだ?

父は足元を見るが、特にいつもと変わらない。

でも違和感が拭えぬ、そっと足を上げた。

………ない。

あるはずのものがそこにないのだ。

ハッとした父は、恐る恐る振り返る。

ちょっと良いスーツ屋、会計をしたレジ、笑顔の店員、試着室……。

あった。

試着室の前、あるはずのないそれが。

そう、そこには父の靴底がまるまる残っていた。

ブランドものが好きで浪費家だと話したが、

別に我が家は資産家ではないし、ごく一般のサラリーマン家庭だ。

そんな家庭が良いスーツを作るというのは、自分へのご褒美ともいえる贅沢な買い物。

しかし限られた生活予算の中、どこかに多くお金が動けば、

どこかの予算を削らねばならない。

それが父の靴底となって、顕著に表れてしまったのだ。

父は驚いた。それはそれは驚いて、顔から火が出るかと思ったほどに。

手にはちょっと良いスーツ、靴は底なし。

なんとアンバランスな男なのだろうか。

父は店には戻れなかった。靴底とはそこで今生の別れとなった。

父は靴の底が見えないよう、足を引きづって帰った。

私はその時の店員が残された靴底に気付いた時、どんな顔をしたのか知りたくて仕方ない。

とまあ、それなりに愉快で変な父である。

上記エピソード以外にもあまたのエピソードがあるので、

またタイミングを見つけたら記録しておきたい。

ria